井上芳郎教授(旧第一解剖)
故・井上芳郎先生(1940~2024)は、慶應義塾大学医学部を卒業後、解剖学教室(三井但夫教授、嶋井和世教授)において、鶏胚視覚路のグリア細胞に関する形態学研究で博士(医学)の学位を取得した。北海道大学医学部解剖学第一講座教授に就任した1978年当時は、解剖学実習に必要なご遺体も不足し、学生8人で一体の解剖実習も難しい状況だった。道内の病院や施設、市役所などに赴いて献体に関する啓蒙活動を行い、北海道大学白菊会の運営と発展に中心的役割を果たした。また、現在も使用されている人体解剖学実習テキスト「解剖学実習指針」および神経解剖学講義テキスト「神経解剖学」を編纂し、今日に至る教育カリキュラムの基盤を整備した。研究面では、自然発症変異マウスやトランスジェニックマウスを用いた研究を開始し、第一線で活躍する分子生物学研究者とも緊密に連携した。1992年には「ニューロサイエンス談話会」を立ち上げ、これが基盤となって「脳科学研究教育センター」が設立され、井上先生はその初代センター長を務めた。
管理運営面では、1997年より医学部長を2期4年間務め、大学院重点化による研究体制の整備に尽力した。2001年の医学部長退任に引き続き、中村睦男総長の下で約4年間副学長を務め、北海道大学の運営と組織改革、特に国立大学の法人化問題に取り組んだ。
朝日学術奨励賞(1983年)、北海道知事賞(1987年)、北海道医師会賞(1987年)、日本医師会医学研究助成費(賞)(1989年)、北海道大学医学部特別賞(2022年)を受賞し、日本解剖学会の理事(2000~2002年)も務めた。
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沿革